転んで肋骨をやってから、妙に人の歩き方が気になるようになった。
若い人は、出した足のつま先が少し上がっている。
踵が着くとき、つま先がぴっと持ち上がる。
すっすっと歩く。
年寄りは違う。
足裏をぺたぺた置くように歩く。
なるほど、つまずくわけだ。
そんなことを考えていたら、ふと思い出した。
だいぶ前、防犯カメラに映った自分の姿を見たときのことだ。
背中が少し丸まっていて、ぺたぺた歩いていた。
「ああ、年取ってきたなあ」と、ちょっとしょぼんとした。
きょう電車降りたら、恐らく元野球部な青年が斜め前を歩いていた。
ケツがぷりっとしていて、
スーツのズボンがはちきれんばかりだった。
歩き方も出した足がまっすぐで、踵が着くとき、つま先がぴっと上がる。
階段を上がるのをついていくと、一段踏み込むたびに、ケツが、ぽん、ぽん、と上がる。
なるほど、若いっていうのはこういうことか、と思った。
自慢じゃないが、わたしもケツの形がいいらしい。
ジムのパートレや知り合いの外人に言われて知ったのだが、けっこう“ぷりっ”としているそうだ。
六十を過ぎても、これだけは何とか維持したい。
そう思って、少し胸を張って歩いてみた。
……肋骨が痛かった。
まあいい。
ぺたぺた歩きでも、
ケツがぷりっとしていれば、
人生まだ悪くない気がする。
しかしこれ、元野球部青年のケツの話なのか、きれいな歩き方の話なのか。
きっと前者だな。
ヤングのプリケツ、好きだし。